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吉越 章隆; 寺岡 有殿
Surface and Interface Analysis, 34(1), p.432 - 436, 2002/08
被引用回数:3 パーセンタイル:8.65(Chemistry, Physical)超音速0分子線と高分解能放射光光電子分光法を組み合わせることにより、Si(001)初期酸化反応の実時“その場"観察を行うことに成功したので報告する。これまで、われわれはSPrin-8原研専用軟X線ビームライン(BL23SU)に表面化学の実験ステーションを設置し、Si電子デバイス作製で極めて重要なSi(001)初期酸化反応に着目し研究を開始した。Si-2p光電子スペクトルの内殻準位シフト(ケミカルシフト)を用いて、分子線照射時間にともなう酸化状態の変化を分子線照射下で観察することに成功した。特に、並進運動エネルギーが3.0eVの場合、Siに加えてSiの成分が分子線照射時間とともに増加することを見いだした。このように、高分解能放射光光電子分光法を用いることにより酸素の並進運動エネルギーによって引き起こされる酸化状態の時間変化を明らかにすることができた。さらに、Si-2s、Valence bandスペクトルをSi-2p光電子スペクトルと比較することにより酸化状態の並進運動エネルギー依存性を明らかにした。会議ではこれらの知見をもとにSi(001)表面初期酸化におよぼす並進運動エネルギーの役割とその反応メカニズムを詳細に議論する。
吉越 章隆; 佐野 睦; 寺岡 有殿
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 39(12B), p.7026 - 7030, 2000/12
被引用回数:9 パーセンタイル:41.38(Physics, Applied)超音速O分子線を用いて、O分子の並進運動エネルギーを変化させ、それによって誘起されるSi(001)表面酸化過程をXPS及び散乱分子線測定により明らかにしたので発表する。SiOの脱離を伴う酸化(Active oxidation)では、O分子の運動エネルギーが、3.0eV及び2.0eVの場合、基板温度700において、SiOの脱離及びO分子の散乱割合に大きな変化が見られた。しかし、並進運動エネルギーが、0.5及び1.0eVではこれらの現象がみられないことから、O分子の並進運動エネルギーがActive oxidationを増強する効果があることを見いだした。SiOの脱離を伴わない酸化(Passive oxidation)においても並進運動エネルギーの効果が見いだされた。酸化が、1.0eV及び2.6eVの並進運動エネルギーで増加した。これらは、Si表面の第1層のback bond及び第2-第3層間の酸化に対応することが、理論計算のこれまでの報告との比較よりわかった。